頑張ってます!新規就農者

興部町

★興部町 Ⅰさん

効率的に循環している・リスクヘッジの効いた牧場づくりを!!

Ⅰさん(46歳) 令和3年1月就農 興部町
(取材:令和5年8月1日 KI記 協力:北オホーツク農業担い手対策協議会)

【地域の概要】

 興部町は、北海道北東部のオホーツク海沿岸にある人口3,600人ほどの町です。「地域の誇り」未来の産業を育てる〜ひと、まち、自然が調和するまち・おこっぺ~をスローガンに大規模な酪農業、水産資源の豊富な漁業、豊かな森林を活かした林業が営まれています。
 酪農業は健康な土・草・牛を育て、原料生産地から脱却し消費地に届けるための「モノづくり」を新たなスタイルと考え、アイスクリーム、ハム・ソーセージ、ナチュラルチーズなど農畜産物の研究・製造が進められています。
 また、新規就農や農業体験実習など担い手確保・育成には、「北オホーツク農業担い手対策協議会(雄武町・興部町)」として取り組んでいます。2019年には、研修牧場「Farm to-mo」を創立し、新規就農の受入を積極的に行っています。

【動機から就農まで】

 三重県の非農家出身のIさんは、帯広畜産大学卒業後、外資系の大手製薬会社で15年間勤務後、大学時代での経験を活かせる動物用医薬品部門の会社へ。会社員として働きながらも起業への夢を持ち続けていました。ある時、牛の現場を見ていて「酪農家になるのも起業のひとつ。酪農経営にビジネスチャンスがある」と考え、大学同期だったパートナーの妻を説得。合意を得てH28年に家族4人(妻、当時小1、小3子供2人)一緒に北海道へ移住。
 道北のS市にあるTMRセンターの研修牧場でH28年4月から2年間経験を積み、就農先を模索していた時、北オホーツク農協に就職した大学の同級生が「離農する牧場がある」と紹介してもらい、「新規就農するならフリーストール牛舎で就農したい」という希望と合致し、人のご縁やタイミングもあり、興部町への就農を決意しました。
 H30年4月興部町に移住し、酪農ヘルパーを経て、継承予定牧場で2年ほど研修し、令和3年1月に第三者農業経営継承で新規就農しました。

【就農してから】

 就農開始時点から従業員2人を雇用しており、経営者として従業員管理の難しさを痛感しました。また、牛も建物も癖があり、想定していないことが起こり、ぶつかる課題に一つ一つ解決していくことで、少しずつ技術レベルを上げていくことにつながっています。
 今はようやくスタートラインに立てたことが「良かった!!」と思えることです。

【経営概要】

・労働力:本人、妻、常雇用2人(インドネシア人)
・経営面積:78ha
・経産牛:89頭、育成牛:79頭
・機械・施設:フリーストール牛舎(118頭)、パーラー6頭W(へリーンボーン)
       育成牛舎、バンカーサイロ、スラリーストア他

【就農支援制度の活用】

・農地保有合理化事業
・農業次世代人材投資資金(開始型)
・青年等就農資金
・スーパーⅬ資金
・市町村・JA支援策(就農奨励金、賃貸料奨励金、固定資産税奨励金など)

【経営の特徴・目標】

◎効率的に循環する、リスクヘッジの効いた牧場づくり
・就農してから休む暇なく働いていますので、天候・労働・為替などのリスク対応のできる経営体にしていきたい。
・自給粗飼料の量・質ともに充実させていきたい。
→①高タンパクな自給飼料確保のために牧草3回刈(オーチャード+マメ科)の継続
 ②高エネルギー飼料確保のためにコーンサイレージの導入
 ③スラリーの有効活用など。

【後輩へのアドバイス】

・新規就農するには「我慢する」ことが大切です。周囲の皆さんから人として信頼を得て、
 成し遂げた時にはじめて自分の意見が言えると思います。
・周りの優しさに甘えて、助けてくれることを前提に行動しないことが大切です。