新冠町 Tさん
新冠町 ピーマン専門の施設栽培で新規就農したTさんを紹介します。
[Tさん(42才)、平成27年3月就農、新冠町]
(取材:平成29年6月OK記、協力:新冠町)
地域の概要
新冠町は北海道南部、日高管内の中央に位置し、雄々しい日高山脈から流れ出る新冠川が緑の大地を貫き、茫洋たる太平洋へと注ぐ大自然が息づくまちです。
そんな気候風土の中で育ったハイセーコーを始めとする数々の優駿の里でもあり、昼夜の大きな気温差、豊かな土壌がつくる「にいかっぷピーマン」は生産量の増大及び規格の統一が図られ、道内有数のピーマン産地として有名です。新規就農の受入体制も整い、農協OBが専属スタッフとなってコーディネートしてくれます。
また、新冠町はレコードと音楽による街づくりを展開し、「新冠レ・コード館」には100万枚のレコードが所蔵されています。
動機から就農まで
学生時代に長野の農家で働く機会があり、自然と向き合って暮らし、農業を営む人と接し、農業の魅力を感じました。また、家庭を持ち、子育てをする中で、「食の大切さ」「家族共同の仕事」「自然の中での子育て」を強く意識するようになり、農業者への憧れが一層強くなりました。
阿寒町で勤めていた頃に奥さんと出逢い結婚。その後は東京で暮らしていましたが、東京で開催された公社の新規就農セミナーに参加し、就農コーディネーターから新冠町を紹介されたことがきっかけで、平成24年4月に農業支援員(地域おこし協力隊)となり、平成27年3月に就農することができました。
農業支援員1年目は研修受入農家(畑、蔬菜、酪農)13戸を巡回して研修し、この間色々な形態の農家と知り合うことができました。その中から「自分のやりたいのは蔬菜経営」と決め、2年目は蔬菜農家3戸で研修、3年目はそのうちの1戸で研修しました。
空き住宅のあった泉地区に住みましたが、研修したのは太陽地区で、3年間通いました。泉地区には、農家による新規就農を支援する組織「支援員を支援する会」があり、土地の取得や施設の建設など地域を上げてサポートする体制が整っていました。泉地区の皆さんとは自治会活動や子供を通して親しくなり、一生懸命なTさんの姿に「みんなで何とかしてやろう!」とTさんの住宅前にあった草地の所有者が「じゃあ、俺の草地を使ったらいい。」と草地2haを分譲してくれました。
Tさんが農作業で手が離せない平成26年4月に東京から引っ越すことになりました。そこで奥さんが、4tトラックに引っ越し荷物を積んで東京から運転してやってきたそうです。奥さんも逞しく頼もしい女性です。
お子さんは4人で18、15、11才の双子。上の二人は東京育ち、双子は北海道育ち。上は都会に興味があり、双子は全く興味がない。それぞれの考えが違うので面白いです。ここでは友達と遊ぶのも遠くまで自転車を漕いで行くので大変ですが、自分の体を動かして自然の中で逞しく育っています。
経営規模
・労働力は、本人、妻、パートタイマー3人
・経営面積は、普通畑2ha(うちピーマン39a、育苗3a)
・施設は、ビニールハウス14棟(4,200㎡)、作業用施設1棟(92.4㎡)
・機械は、トラクター1台(49.5ps)、軽トラ1台
経営の特徴
・二重ハウス栽培による早期/長期出荷など高価格販売に努める
・市場性のあるLM規格の出荷比を高める
経営目標
・ピーマンを経営の柱としながら、ホウレンソウなど他の野菜との複合栽培を導入したい
(ピーマンと時期の重ならないものを探している)
就農支援制度の活用
・就農支援資金(施設等資金)
・リース事業(農地保有合理化事業)
・担い手センター事業(家賃助成、傷害保険)
・新冠町事業(担い手育成支援事業補助金500万円、農業支援員就農支度金100万円)
後輩へアドバイス
・農業は大変、やる気と実践力が大切
・就農と生活のための自己資金の確保
・地域との交流、お付き合い(自治会、営農組織、各種集団)が大切
・家族の協力、家族が地域にとけ込めること
・就農前には、土づくり、作物栽培、販売流通、経営管理の基礎知識習得を