頑張ってます!新規就農者

富良野市

富良野市 Mさん

富良野でメロンを栽培し、「農業への夢を現実にした」Mさんの笑顔に逢いました。

[Mさん(35歳)、平成27年4月就農、富良野市]
(取材:平成29年9月12日TC記、協力:富良野市)

地域の概要

 「へそとスキーとワインのまち」富良野市は、北海道のほぼ中央にあり、富良野盆地の中心都市である。道内市では13番目の広さをもち、過去最高気温36.3℃、過去最低気温-34.5℃を記録するなど、典型的な内陸性気候となっている。
 テレビドラマ『北の国から』のロケ地として、また、道内有数のスキー場や中心市街地の人気スポット「フラノ・マルシェ」などに多くの旅行者が訪れ、周辺地域を含めて北海道を代表する観光地になっている。
 主な農産物は、たまねぎ、にんじん、かぼちゃ、アスパラガス、スィートコーン、メロン、すいか、加工用ぶどうとなっており、水稲・畜産・畑作・野菜・果樹と、栽培されている作物の多さも、この地域の豊かな気候風土に由来している。

就農の動機

 京都府の出身のMさん。「スノーボードをやっていたことから、雪質が良く冬はスキー場で働く事ができ、夏は食事付の寮がある農作業ヘルパーとして働けることは魅力的であった」と、就農研修に入る前にJAの農作業ヘルパーとして、3年間従事していた当時を振り返る。
 農作業ヘルパーの仕事を通して、メロン作りが魅力的で面白い事を知り、自分でもメロンを栽培してみたいと思っていたが、派遣先の農家から勧められた事も、就農への道を後押しした。
 そして、埼玉県出身のパートナーとの出逢いも「農作業ヘルパー」が縁だったという。同じ様にメロンを担当していたパートナーも「農家をやってみたい」と言ってくれて、「ふたりなら、やっていける」という確信につながった。
 就農研修受入先の農業生産法人では、共同経営の提案もしてくれたが、独立自営就農を選択した。

経営概要

・農地、築40年の住宅、D型倉庫(63坪)、納屋(各50坪2棟)機械類等(トラクター28馬力、42馬力、投雪機、防除機)を居抜きで譲り受けた。
 「一から揃えるとなると多額な資金が必要になるが、居抜きで譲って貰えてよかった」とMさん。住宅も購入後にリフォームをした。
・経営面積420a
 メロン30a(メロンハウス10棟、育苗1棟、現在1棟を増設中)、スイートコーン10a、かぼちゃ10a、その他秋まき小麦(委託栽培)など370a
・メロン栽培は同じハウスを利用しての二期作を実施している。
 加温促成、無加温半促成栽培~3月末から4月初旬に定植し6月末収穫。 
 抑制栽培~7月上旬に定植し、9月末から10月初めに収穫。
・労働力:本人(1.0)+子育て中のパートナー(0.5)+父(0.3)
・販売方法~個人販売30%、東京方面青果関係30%、JA出荷20%、ふらのマルシェ20%の割合

就農支援制度の活用

就農支援資金(研修・準備)、大型特殊免許取得など

就農前に習得した方が良いと思う事

・技術的な事は肌で体感しておく。Mさんの場合は、農作業ヘルパーの仕事を通じて5~6割は出来るようになったが、実際の農業経営に直結するような判断や作業は経験できなかった。
 メロン栽培でいうならば、ハウスの開閉、温度や水管理、防除、収穫判断、選別など。  
・就農研修中には、重要なポイントになるところは、できるだけ突っ込んで話を聞くように努めた。自分が経営者になるためには、ハウスのビニール掛けから片付けまで、全ての作業が出来るようになることが必要だ。

農業をやりたいと思っている、後輩へのメッセージ

・若く農業に興味のある人は、どんどん農家になって欲しい。
 農家をやりたい人は、1カ月くらいでも良いので、農作業ヘルパーをやってみるのはどうだろうか?
・自分は、農作業ヘルパーを3年やって、結果的に約80戸の農家を回る事ができた。農作業ヘルパーを雇用している農家は、基盤がしっかりした安定経営の農家であり、そのような経営者と出会えるチャンスでもあるのだ。
 何かにつまずいた時に「聴きに行ける」経営者と繋がれる事は、農業をめざす人にとっては宝物だ。
・また、農作業ヘルパー同士のつながりも重要だ。苦労するところが同じなせいか、ライバルとして互いに刺激し合い、励まし合い、互いを盛り上げながら鼓舞し合って農業を続けている。結婚して農業を始める仲間も多い。ぜひ!チャレンジして欲しい。

経営の目標

 就農地は、先代もかなり苦労をした粘土質であり、作土層も深くなく根菜類の栽培は難しい地域だ。
 今は面積が小さいので、植えたメロンの株本数のロスを少なくし、キッチリと採るようにしたい。10a当たりの収量を2,400kgから2,600kgに上げ、品質的にも秀品率を高くしたいというのが当面の目標。
 品質の向上により売上単価を上げて利益率の高い経営をめざしていきたい。

 ~~そんなMさん夫妻を支えているのが、京都からご夫妻で富良野市に移住された、Mさんのお父さん・お母さん。今はミニトマト作りに夢中と言うご両親だが、Mさんのメロン栽培にも計り知れない協力と応援を注いでいる。
 
ご両親は勿論のこと、新規就農の仲間や地域の農業者からも支えられ、経営成果が楽しみな就農3年目の秋を間もなく迎える~~