頑張ってます!新規就農者

美瑛町

美瑛町 Iさん

美瑛町のトマト専業農家として新規就農されたIさんをご紹介します

[Iさん(48歳)、平成27年4月就農、美瑛町]
(取材:平成31年4月25日 O記 協力:美瑛町農業振興機構)

地域の概要

美瑛町は北海道のほぼ中央に位置し、十勝岳連峰の噴火と河川の浸食によって波状丘陵がつくられ、その上に格子状の区画割りで開墾を行ったことが「丘のまちびえい」の美しい景観を生み出しています。面積は東京23区の広さに匹敵し、その70%以上を山林、約15%を畑地が占め、農業を基幹産業としています。気象は寒暖差のある内陸性の気候で、稲作、畑作、露地野菜(スイートコーン、アスパラ、玉ねぎなど)、施設野菜(トマトなど)および畜産を営んでいます。
美瑛町は新規参入の受入として初期投資の少ないトマト栽培を推奨しており、平成20年から29年までの10年間に28組の方々がトマト栽培農家として新規参入を果たしています。また、新規参入を目指す方々の宿泊研修施設として「農業担い手研修センター」が平成31年春にオープンし、隣接地には研修生が模擬経営できるトマト栽培ハウス8棟や露地野菜圃場のある「実践農場」を設け、トマト栽培を中心に、より実践的な研修を受けることができます。

動機から就農まで

「妻とは名古屋の同じ理系大学、スキー部で一緒でした。」と話すIさん。大学卒業後に就いた仕事は、Iさんが自動車の塗装関係、奥さんは建築関係でした。「塗装の仕事は、作業中の空気が悪く主人の体が心配。新鮮な空気の田舎で農業をやって暮らしをしたい。」と、話を持ち掛けたのは奥さんでした。お二人とも農業に興味があり、自分で美味しい野菜を作りたいという思いが強くなり、今からでも遅くはない「よし、やろう」と決断しました。
決断してからの行動は速く、平成24年の夏、名古屋市で開催された「新・農業人フェア」に参加し、そこで、当公社のT就農コーディネーターから色々と説明を受けました。同年秋に札幌市で開催の「新・農業人フェア」に夫婦で出向き、T就農コーディネーターから美瑛町を紹介され、美瑛町の受入体制など事細かく知ることが出来ました。平成25年3月に塗装の仕事を辞め、平成25年4月から2年間、トマト栽培の先進農家で研修し技術を習得しました。また、美瑛町農業振興機構や農協、トマト部会の先輩農家さんにアドバイスを頂き、特に同年代のトマト農家は何かあった時に頼りになったそうです。皆さんの支援と夫婦の努力によって平成27年4月に新規参入を果たしました。

就農してから

 就農してからは初めての自営業とあって、あれもこれもとやることが多く、最初は戸惑ったり焦ったりプレッシャーがありました。そこは理系出身のお二人、じっくり考え順序だって仕事をすることで慌てることもなく作業も早くなり、アクシデントにも臨機応変に対応することが出来るようになりました。
技術情報の収集やデータ管理は奥さんが中心に行っています。例えば、温度低下のための灌水チューブフィルターによる天井からの噴霧ですが、この情報を奥さんからIさんが教えて貰い、噴霧するトマトと噴霧しないトマトで比較、効果が確認できたので今年は全体を噴霧するといった具合に、理系ならではの測定を行って設備投資をしています。
農家になって思ったことは、「やった分だけ、手を抜いた分だけ、そっくり経営に跳ね返る」「仕事をするときに自分で決められる」とやりがいを感じています。
「ハウスの中は暑くて大変でしょう」との質問には、Iさんは岐阜県出身、奥さんは名古屋市出身で「暑さにはめっぽう強い」と、涼しい顔で笑って答えてくれました。

経営概要

・経営面積:2.37ha(トマト栽培および緑肥栽培)
・ビニールハウス8棟(2,610㎡)
・トラクター1台、うね立て機1台、除雪機1台
・販売方法は農協出荷

就農支援制度の活用

・青年等就農資金、大型特殊免許取得支援事業

経営の特徴

・自分たちが納得いく仕事が出来るように心がけている。
・夫婦二人の現状の労働力、現状の規模を維持し、内部充実によって単位当たりの収量や所得を上げたい。
・経験が浅く失敗していることもあるので、失敗を防げば反収は伸びると思っている。
・費用対効果のある設備投資を積極的に行っている。

経営の目標

・目標生産量 16t/10a (現状は14t/10a)
・目標生産額 1,200万円 (現状は1,100万円)
・家族経営で、生活が成り立ち、美味しいトマトを作ること

就農前に習得した方が良いと思う事

・扱う機械の操作方法やメンテナンスの仕方
(失敗しながらでも自分でベッド作りやトラクター作業が出来ること)
・栽培方法、経営管理、施設機械などの勉強

後輩へのアドバイス

・最初は上手く行かないことが多いと思うが、一生懸命できることをやること。
・そのうち馴れるので、経験をすることが大切。
・目標を持ち、それを達成するにはどうしたらいいか、頭で考え行動すること。
・自分の考えをきちんと持ちながらも、他人の意見も聴くこと。

写真

左:美瑛町農業担い手研修センター(研修生や体験者の宿泊研修施設)
右:美瑛町実践農場(研修生がビニール掛けから収穫まで一連の作業を習得する場)