頑張ってます!新規就農者

名寄市

名寄市 Hさん

「地域おこし協力隊から新規就農の夢を実現!」~地域に溶け込み、地域農業者と良好な関係を築くこと~

[Hさん(30歳) 平成29年4月就農 名寄市]
(取材:令和元年6月20日SH記 協力:名寄市農業担い手育成センター)

地域の概要

 名寄市は、北海道上川地方北部の中心都市で、人口約3万人の緑豊かなまちです。上川北部のセンター病院である市立総合病院や市立大学などの都市機能を兼ねそろえ、また、雪質日本一との呼び声高い名寄ピヤシリスキー場やジャンプ台、カーリング施設、口径1.6メートルの望遠鏡が設置された市立天文台「きたすばる」などの観光資源にも恵まれている。
 基幹産業は農業でもち米の生産量は日本一。中でも三重県の伊勢名物の和菓子「赤福餅」に使われる原材料のもち米には、名寄産が使用されている。
 また、盆地特有の昼と夜の寒暖差が大きい気候のため、アスパラ、じゃがいも、かぼちゃ、スイートコーンなど美味しい農作物の栽培が盛ん。ひまわり畑も有名で、なよろの夏の代表的な観光スポットになっている。名寄市農業振興センターは試験栽培圃場、土壌診断・組織培養施設を備え、地域農業の中核施設として農業技術の情報提供と普及を行っている。
 担い手確保のため、名寄市での農業新規参入者受け入れは、地域おこし協力隊(農業支援員)を中心に取り組んでいる。

動機から就農まで

 厚岸町出身のHさんは、祖父が昆布漁師だったため、自然の中で働くことに魅力を感じていた。大学時代、仙台市内で東日本大震災に遭い、避難生活中に食べることのありがたさを再認識。ボランティア活動で出会った農家の方に「やるなら若いうちからだ」と言われたことで、就職するか農業を目指すかで迷った末、北海道で就農することを決断した。
 北海道のどこにするか、インターネットで検索すると名寄市地域おこし協力隊(農業支援員)の研修制度が手厚く感じたことで、名寄市に飛び込み農業研修が始まった。
 農業研修していた同時期に近隣で活動していた地域おこし協力隊の奥さんと出会い結婚。
 農業研修では、肉体的には辛いと感じなかったが、最初の頃は地域に溶け込むのに時間がかかった。しかし徐々に知り合いも増え、現在は青年部に加入するなど多くの仲間もできた。非常に運が良かったのが、研修した農家のTさんが素晴らしい方で生涯学びたいと思う師に出会えたこと。特に「本当に必要な機械以外は買うな!」という指導を受け、就農後はいろいろな農業機械を借り初期投資が軽減出来たことは、経営面で非常に助かっている。
 そして研修中に研修農家の隣の農家が離農したので、農地を引き継ぐことが出来、タイミングも良かった。いかに条件の良い就農地を確保できるかが、新規就農成功の鍵を握っていると思う。
 就農後、苦労したことは、奥さんの出産に伴い、学生アルバイトがいるとはいえ経営体として労働負担が増加したこと。
 現在、市役所、JA、普及センター等の関係機関が巡回指導を行っていただいており、就農準備の時には、それぞれ相談等に対応してくれたことで非常に心強く助かった。

経営規模

経営面積:田4.2ha(借地)
栽培作目 水稲2.5ha、スイートコーン1.4ha、アスパラガス0.2ha
カノコソウ(薬草)0.1ha
農業機械類:トラクター2台、コンバイン、野菜移植機等
      (田植え機等の各種作業機は地域農業者から賃借)
労働力:本人、妻、学生アルバイト(土・日及び夏休みに名寄市立大学の学生を雇用)
販売先: JAに出荷。

就農支援制度の活用

・就農時に市の助成金を活用して、農業機械を導入。
・青年等就農資金を借り入れ、農業機械を導入
・就農後は農業次世代人材投資資金(開始型)を活用。

後輩へのアドバイス

 今、改めて1年1年が、非常に貴重で一瞬に感じられる。営農できる年数を考えると就農の決断は早い方が良いので、年齢はなるべく若い時に就農すべきと考えている。
 そして、農業は体が資本なので体調管理が重要。資金がない状況で就農したが、出来れば自己資金はあった方が良いと感じている。

今後の経営の方向性

水稲とスイートコーンの栽培面積を拡大して、安定経営を確立したい。
また、子どもも1人増えたので、農地のそばに住宅を新築したいと考えている。

雑 感

 Hさんは明るく積極的な性格で、地域行事やJA青年部活動に参加するなど人脈を広げ地域に溶け込んでいる。そのため地域農業者、関係機関等と良好な関係を構築している。新規就農を成功させる条件として、地域とのコミュニケーションの大切さを痛感した。経営面では、研修生時代の受入農家が所有する農業機械を利用できる等で農業機械費の軽減を図っている点が評価できる。 
 奥さんも農業について多少の不安はあるようだが、Hさんと共に明るく、前向きに農業に励んでおり、今後、益々期待が膨らむHさんご夫婦です。


写 真

Hさんの水田、Hさんのスイートコーン畑
ひまわり、名寄市農業振興センター