ニュージーランド

野菜 男性

<ニュージーランド野菜研修レポート>

 約10ヶ月間のNZでの生活の中で、私は様々な事を知り、数々の経験を得た。また、色々な国の人たちと出会い、共感し合える事ができ、充実した研修をおくることができた。
 今回、作成した帰国報告書は、お世話になった各ファームの経営や特徴等、あまり詳細ではないが書きました。また、それ以外に気付いたことや、新たに参加する人たちへ参考程度のアドバイスも書きました。

1)
オードリー・シャープ農場
場所:ワークワース(オークランドから北へバスで40分)
滞在期間:2006/5/20~6/19 2007/2/1~2/18

 経営内容…こちらのファームではパーマカルチャーというものを実践しており、経営者のオードリーは、山を所有している。そこを切り開き、機械を使わず全て手作業で畑を作り管理を行っている。彼女自身は大学の講師をしており、週に3回オークランドへ行っている。また、ワークワースの町にはアンティークショップを開いているため、彼女は毎日現場には参加できないことが多く、毎朝いくつか指示を出し出勤している。

 パーマカルチャーとは人間にとっての恒久的持続可能な環境を作り出すためのデザイン体系のことで、パーマカルチャーという言葉はパーマネント(permanent永久)とアグリカルチャー(agriculture農業)をつづめたものでオーストラリアの発祥で、NZではこれを実践しているファームも多く、これを学びに世界各国から来ている人もいた。

 作業内容…毎日行う仕事は、犬の散歩(5匹)鶏の餌やり(朝・夕)作物への水やり(トマト、カボチャ、エンドウ豆)
 それ以外の仕事…ニンニクの畑作り ニンニクの植え付け(5月~6月)
ニンニクの仕分け 野菜の苗定植及び収穫(2月)

 仕事は比較的簡単ですが、全て手作業のため決して楽ではないが、色々な国から人が来るので仕事中は常に会話していた日もあった。
 オードリーはとても優しく、厳しい方です。また、知識も豊富で日本に行ったこともあり、日本の話など、とても興味を持って聴いてくれた。また、家族の人たちも優しい人ばかりで充実した日を送ることができた。

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 左の写真はオードリーと一緒に撮影した一枚、右は1月に収穫したニンニクを選別したもの、作った野菜や卵は市場へは出荷せず、自家消費や経営している店で販売している。

2) ティム・エッジコンベ農場
場所:ケリケリ(オークランドから北へバスで4時間半)
滞在期間:2006/6/20~7/7
 経営内容…こちらのファームは花や野菜の育苗、ズッキーニの栽培を行っている。
 作業内容…ズッキーニの収穫、畑に使っていた資材の撤去を行った。
 時期が秋だったので、収穫もほとんど終わっており、担当した仕事自体あまりなかったので短い期間で終了した。夏(11月~2月になるとズッキーニの栽培が始まり、各国の旅行客(働き手)で賑やかになる。
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オークランド市場へ出荷される苗木

3) ブレンド・トーマス農場
場所:ヘレンスビル(オークランドから北へ車で約1時間半)
滞在期間:2006/7/8~8/21

 経営内容…ここのファームは花の栽培、夏期にはキュウリの栽培を行っている。また、トーマス夫妻は2軒花屋を経営している。また、趣味で鶏、羊、山羊、馬を飼っている。
 仕事について…ピンクプロティアという花の木に登り、剪定をする作業、フィールドの掃除やキングプロティアの収穫、キュウリ畑の片付け・植え付けの準備、鶏の餌やり、羊の管理など大きい仕事から小さい仕事まで色々とあった。

私が行った時期はちょうど冬だったので仕事は比較的少なめだったが、夏のキュウリの栽培の準備や剪定作業や動物の世話など、忙しい日もあった。
 トーマス夫妻は基本的にそれぞれ経営している2軒のお店が忙しいので、仕事は基本的に一人で行った。

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 左の写真は開花したキングプロティア、右は生まれたばかりの羊の子供

4) トニー・ジョーダン農場
場所:ワイウク(オークランドから南へ車で約1時間45分)
滞在期間:2006/8/22~11/2

 経営内容…ここのファームは、プロティア、リューガデンドロン、ワラタといった花木を栽培、管理をしている。収穫した花は、選別⇒箱詰め⇒出荷先へ運送をしています。出荷した花はオークランド市場の競りに出されるか、日本や香港、アメリカなど世界各国に輸出している。経営を始めたのはトニーさんの父親で1978年から始まり、1980年には輸出が始まり、今日では約30種の花木が栽培されています。その中から何種か収穫し出荷しています。
 
 作業内容…基本的に毎日注文が来るノルマの花の収穫、選別、箱詰めを行っています。ちょうど収穫がピークだったため非常に忙しかったです。
毎日28エーカーの畑をモーターバイクで移動します。
 
 家族構成は息子2人の4人家族です。トニーさんに聞いた所二人には家を無理に継がせる気は無く、自分たちのしたいことすれば良いと言っていた。
息子2人は高校生で長男のダニー君はギターを次男のカート君はドラムをそれぞれ練習しており2人ともとても上手で、定期的に練習会を行っていた。また、トニーさんと2人の息子達はモデルガンを用いたミリタリーゲームが好きで月に2~3回、畑をそのまま 戦場にして楽しんでいる。
 週末はよくショッピングなど色々な所に連れて行ってもらい、また1つの部屋にシアタールムを設けており、家族の人と映画を見たりした。

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5)
ヨハン・ラーン農場

場所:ケリケリ(オークランドから北へバスで4時間半)
   カイタイア(ケリケリから北へ車で1時間半)
滞在期間:2006/11/2~2007/1/31

 経営について…こちらのファームはケリケリ・カイタイア(ケリケリより北)それぞれに農場がありケリケリではズッキーニ、カイタイアではスイートコーン・スイカ・メロン・ズッキーニの栽培や牛を飼育している。
 
 仕事について…ケリケリでは毎日ズッキーニの収穫、箱詰めを行った。
時期が夏で気温も高く、畑の面積も広いため非常に厳しかったが、長く続けば続くほど、とてもやりがいを感じた農家でした。カイタイアの農場は1月に、4回行った。作業はスイカ・メロンの収穫を行った。スイカ、メロンは大変甘く、毎日余剰品をいただいた。ケリケリ及びカイタイアでとれた作物の一部はケリケリのラーンさんが経営している直売場へ、それ以外は全てオークランドの市場へ出荷される。

 NZではこういった大規模な栽培を行っているファームでは毎年ワーキングホリデーで来る人達を雇い仕事をするのがごく普通で、バックパッカーズの格安ホテルでもこのような仕事の紹介をしている。色々な国の人と出会えるが、中には真面目にやらない人もいるので直ぐに解雇になったり、辛くて数日で辞めてしまう人もいた。
 こちらのファームは給料制(時給約820円)で、当然非常に厳しく、非農家の私にとって、この長く非常に辛かった3ヶ月間は大変大きな経験になった。
また、仕事以外にも各国の人との出会いや、文化なども同時に学ぶことができ充実した日々を送ることができた。

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 左の写真はケリケリのズッキーニ畑で、この時期が収穫のピークだった。
 右の写真はカイタイアの農場でスイカの収穫後の写真。

6) 南島旅行
 実習終了後は南島クライストチャーチに旅行に一週間行った。行動範囲は狭かったが、その中でも色々な人と出会え、楽しいひと時を過ごすことができた。

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 左の写真はクライストチャーチの大聖堂、右は聖堂内の様子で定期的に行われる礼拝に参加できる。

研習を終えて…
 私は初め野菜の研修を希望していた。しかし、行った時期が秋、冬に差し掛かっていたので、希望のファームはあまり見つからなかった。ですが、一番目のファームで学んだ『パーマカルチャー』や『花の栽培』等のジャンルは、もちろん違うものだったが、私にとってはどちらも新鮮で今思い返せば、こうして別の農業を見るのも大事だと感じ、私自身非常に満足している。
このことから、一年間の研修参加を計画している人は色々な農家に入り、様々なことを学んだほうがよいと考えている。

研修で学んだこと…
 1つ目はマナーやモラル。世界どこへいっても、自分のマナーは周囲からよく見られていると改めて思った。どこへ行ってもなるべく謙虚な態度が大事だと感じた。
 2つ目は積極的な姿勢。これは当たり前なことだが、いざ海外でやってみると中々できないものだった。結果、初めの行動が肝心で、特に対人とのコミュニケーションは常に積極的に行うかで日頃の英語力が左右されると学んだ。「失敗してもいい、恥をかくのは今だけなのだから分からなかったら勉強すればいい」と常に思い生活していた。

これから研修へ参加する人へのメッセージ
 海外へ一歩足を踏み入れると、時間はあっという間に過ぎると思う。
そのため、自分は何を学びに来たのか等、目的意識をはっきり持つといいと思う。また、農業以外にもこんな事もやってみたい等、農業以外にも何か1つ興味を持っていくのも良いと考える。NZでしたら先住民のマオリの文化やNZの自然環境、アクティビティなど・・・いっぱいあると思う。

ホームステイ中…
 NZのガイドブックを片手に色々な所を貪欲に歩き回って見ると良いと思う。また、この期間をうまく利用し自分から積極的に行動して、英語や文化の違いや環境など、いっぱい吸収して充実した生活を送って欲しいと考える。
オークランドは市内・市外様々な名所、お店があり楽しい街である。
そして、ホームステイ先の人たちと積極的にコミュニケーションを図り色々なことを学んで欲しい。ここでつまずくと後に響くと思う。

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 左はオークランドスカイタワー、右はホームステイの人たちとの写真
 
 最後になりましたが、私は約10ヶ月間NZでの生活を楽しみましたが、こうして安全に過ごせたのも、北海道国際農業交流協会の皆様ならびに現地研修管理者、また、親や先生の協力や支援のおかげで、私自身とても感謝している。またこの期間、自分を改めて見つめ直すことができ、少し自信がついたかと思い、色々な人との出会いや、コミュニケーション、成功や失敗から生まれた経験をこれからの人生に生かしたいと思っている。