ニュージーランド

酪農 女性

<ニュージーランド酪農研修レポート>

 私は2008年5月から12月までの8ヶ月間酪農の実習をしてきました。行こうと思ったきっかけは北海道のとある実習施設の知り合いがニュージーランドに行ったと聞いていたのと、高校時代の友達がドイツに農業実習のため1年間行っていたので、私も世界の農業をこの目で見てみたいと思い、行く決心をしました。

 英語は少しずつ勉強していたのですが、学校に通った方が良いと思い、最初の約1ヶ月間はオークランドの語学学校に通いました。ビギナークラスになってしまったのですが、いろんな国の人がいて友達もできました。ホームスティ先は日本が大好きというリルさん宅にお世話になりました。猫や犬がいたので、時々遊んでいました。日本料理をたくさん作ってくれたので、終わる前の日にはお好み焼きを作ってあげました。同じ目的の日本人研修生もいたので、良いコミュニケーションとなって良かったです。

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 6月からハミルトンの近くにあるモリンズビルという小さな街のはずれにある農場に移り、ジェイソン・スイステッド家で研修生として働き始めました。ジェイソン一家も、6月に引っ越してきたばかりだったそうです。規模では総頭数420頭。ミルキングパーラーもでかいし、ユニットが40個もあるので最初は驚きました。土地は139haあり、パドックの数は68個。広いわりにきれいに仕分けてあるので移動には最適でした。
 ワーカーとして牧場に勤務するクレイグという私と同い年の青年がいて、その人はもう2年目なのでわからないことはクレイグに聞いていました。ジェイソンよりも日本人慣れしていたのもあって話しやすかったです。

 ジェイソンは奥さんリサと長男ライアンとの3人家族です。リサは街にある美容室に週2回通っています。ライアンは2歳で、とても活発な男の子でよく私のところに遊びにきていました。その他にペットとして犬、猫、山羊、ウサギ、鶏がいました。リサは搾乳をしないので、ペットの餌やりや、芝生の管理、家の中の管理や子育てなどを主にしていました。

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 仕事内容は朝晩の搾乳に、哺乳と子牛の移動や親牛の移動、ハッチを作るお手伝いや大がかりの種付けなど忙しい日もありましたが、やりがいがあってとても勉強になりました。4輪バイクは牛を連れてくるなどの大切な役目なので、最初は恐る恐る乗っていたのですが、慣れてくるとどこまででも乗っていたい感じでした。ですが、何度かトラブルもあってものすごく落ち込んだ事もありました。
 搾乳自体は季節分娩をしているため、6月の後半から1頭ずつ増え始め、8月にはようやく全部の搾乳牛が揃いました。10月には種付けをして少しずつ乳量も落ちていき、最初は3人で2時間くらいかかったのが、11月には2人で2時間かからないくらいにまでなりました。私の出勤時間も、最初は8時からだったのですが、頭数が増えるごとに早く起きて、最終的には4時に起きてクレイグと二人で搾乳しました。そうなると早い時で7時には家に帰れたので、なんだか不思議な感じでした。

 たまにジェイソン達と買い物に出かけたり、ドライブしたり、ひとりで短期間の旅行に出かけたりしました。さすがにひとりだといろいろ予約するのも大変なので、リサが電話で予約してくれて、オススメスポットやプランを立ててくれたのですごく助かりました。泊まったホテルにはたまたま日本人がいて二人きりだったので、思う存分話しました。

 そんな毎日があっという間に過ぎ去り、私の勤務は11月いっぱいまでで終了となりました。短い期間ではありましたが、いろんな人と出会い、たくさん勉強できたのでとても良かったと思っています。搾乳は頭数が多かったけれど、慣れるとこんなに楽なのかと思うくらい早く終わったのでとてもやりがいがありました。ジェイソンは私が初めての日本人だということなので、なんとなく分かり合えないことがありましたが、これもお互いの勉強になることなので、また良い経験をしたなと思いました。

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 12月からはバスでタウランガに行き、花農家であるラッセル・グラントさんのところでお世話になりました。ご両親と3人で2haの花園を管理しています。実際の作業はラッセルさんひとりですが、毎年日本人を受け入れているので経営にはそんなに支障はないみたいです。そこでは10日程しか滞在しませんでした。主な仕事は枯れた花を廃棄場に移動、花壇の土入れ、草むしりなどをやりました。ご両親にはあまり会う機会がなかったのですが、とても優しくて、私でもちゃんと理解できるような英語で話してくれました。ラッセルさんも日本が大好きだと言っていたので、日本のことをたくさん話しました。
仕事以外でも、英語を教えるための受け入れもしているので、私が終わる何日か前にも一人2週間の滞在で来ていました。

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 そんなこんなでファームスティが終わり、12月16日に日本へ帰国しました。今までを振り返ってみると、NZはもともと移住してきた人たちばかりなので、誰に対しても人情味が深いなと思いました。農業の面では、土地の広さと環境の良さが一番の魅力であることから、動物達が伸び伸びとストレスのない生活を送っていけるところが食べ物の安心へ繋がっていき、北海道にはないものをどんどん発信して更に農業を活躍させているところがとても感動しました。

 私自身も、こういった活動でコミュニケーションの輪を広げることができて、また少しずつ成長することができました。これからも農業には貢献していくので、NZで学んだことをいろんな形で北海道の農業に反映できるよう日々努力をしていきたいと思っています。