オランダ

園芸 女性

<オランダ農業研修報告書>

1)研修の概要

l オランダ側の仲介団体

SUSP(Stichting Uitwisseling)

オランダ国内外からの農業研修の希望者に派遣先を提供したり、定期的にミーティングや研修生同士の旅行などを企画している団体です。研修中は月に一度簡単なレポートを提出していました。緊急事態が発生したときや、困ったことがあるときなどすぐに相談にのっていただくことができました。

l 研修先、期間

MDK Flowers&Greens 2018年5月16日~11月14日

フルタイムワーカーとして週40時間以内の勤務、1.5日の休日が条件として与えられていました。自転車(同僚のお子さんのおさがり)が会社から支給され、毎日片道15分ほどかけて通勤していました。

l 滞在先

Petra Bakkerさんのお宅

Petraさんは20年間ホストをされている61歳の女性で、私のほかにも地域の学生やほかの国からの研修生などを定期的に受け入れている方です。

2)研修先 MDK Flower&Greensについて

l 所在地

Zuid Hollandという行政区分のなかのHonselersdijkという小さな町です。ハーグからおよそ10kmの場所にあります。

l 業務内容

巨大なガラス温室内で、観葉植物の生産を行い、施設内で加工、卸売市場への出荷を行っています。灌水や施肥はすべてコンピューターシステムで管理されています。

ガーナにも自社農場を所有しており、ガーナでの収穫後オランダ本社へ輸送し、加工、出荷を行います。

l 温室面積

2600平方メートル

l 従業員

20人以上

正社員が12人以上、週4日午前中のみのパートが約10人、東欧(ポーランドなど)からの出稼ぎ労働者(派遣社員)が6人ほど、休み期間にやってくる学生アルバイトが10人以上働いていました。

l シェア

オランダ国内での同業種内において50%以上

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会社入り口

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温室内

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温室地帯の会社周辺

3)日常業務

扱う植物の種類は主に3つ(Monstera 、Philodendron XanadoPhilodendron Xantal)でした。これらの植物を収穫してから出荷するまでの過程をその日のメンバーで分担して行っていました。それぞれの仕事は体力的(そして身長的)にきついものもあり、慣れるまでに時間がかかりましたが、できないことがあれば教えてもらい助けてもらいながら仕事をしていました。日常的に行っていた業務は以下のもので、数時間ごとに異なる業務を交代で行っていました。

・刈り取り

・選別

・ワックスがけ

・結束、バケツへ入れる

・出荷

・防除

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モンステラ

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出荷前のモンステラ

4)アレルギー発症

働き始めて2週間後くらいのある夜、腕の内側が突然赤くはれ、かゆみが止まらなくなってしまいました。会社の人やPetraさんに相談して病院に通うと、観葉植物の樹液に対するアレルギーだろうという診断でした。1週間ほどお休みをいただき、薬を服用して何とか回復しました。それ以降は、長袖、長ズボン、手袋、マスクという服装で勤務し、会社の方にも樹液に触れにくいような業務を増やすなどしていただくことで最後まで研修をつづけることができました。

5)ホスト

私が半年間お世話になっていたPetraさんはとてもおおらかで素晴らしい方でした。私が一人でオランダへ行って不安な気持ちを理解してくださり、常に私のことを気遣ってくれました。オランダの文化や人々について話したり、休みの日に一緒に過ごしたりすることでオランダでの生活に自然となじむことができたのだと思います。

アレルギーの時も、一緒に病院に行ってくださり、保険の申請の手続きなどもたくさん助けていただきました。また、精神的にも落ち込んでいた私を支えてくださいました。

食事や洗濯など身の回りの世話を母親以上にしていただき、感謝してもしきれないほどです。家に帰ったらPetraさんと彼女の作ってくれるおいしい食事が待っていると思うと、仕事もやる気が出ましたし、家に帰るのがとても楽しみでした。

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6)イベント、訪れた場所

l Midpoint Meeting

SUSPが年に2回開催する3泊4日の旅行で、オランダで農業研修を行う国外からの研修生が集まるイベントです。6月の回に参加し、ほかのたくさんの研修生と出会いました。ロシア、ウクライナ、ポルトガル、アメリカ、韓国、日本(13人)などさまざまな国から30人ほどが参加し、一緒にカヌーやキャンプ、ホームステイ、パーティーなどたくさんの楽しい思い出ができました。

l Royal Flora Holland(卸売市場)

世界最大と言われる花の卸売市場です。オランダで生産された花卉が集まりセリにかけられます。

l ほかの研修生の農場(キク、チーズ、オーガニックダイナミック)

l オランダ各地、ベルギー、イタリア、イギリス…

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Royal Flora Holland

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キク生産会社

7)言語について

私はオランダ語はあいさつ程度しか話すことができず日常会話はほとんど英語で生活していました。しかしオランダ人は小さい子供からお年寄りまでほとんどの人が英語を話すことができるので、互いに英語を話すことができれば不自由なく生活することができます。

この研修で私は英語を話し意思疎通ができること、自分から勇気をもって話をすることの重要性を知ることができました。オランダに行って最初の頃は、思うように英語が話せなかったり、オランダ人のコミュニケーションの仕方に戸惑うこともありました。しかし、Petraさんや会社の方々とお話していくうちにだんだんとよく使う表現や気の使い方、話が広がる話題を覚えていくことができました。また、自分の意見を言うこと、意味が分からなかったことがあれば聞くこと、Yes/Noをはっきりと言うことができるようになったことはとても重要であったと感じます。

そして会社では、ある程度英語が話せるようになれば仕事の内容の細かいことまで尋ね、理解することができます。もしわからないことがあっても、質問をすることができ、その作業をやる意味や作業の全体の業務の中での役割を知ったうえで動くことができます。正社員として働くわけなので、ほかの同僚と同じように理解をして働かなければなりません。そのうえで十分な情報のやり取りができることは重要であると感じました。また、仕事中の同僚との雑談や休憩時間の会話などでも積極的に自分から話しかければ働きやすい居心地のいい環境ができてくると思うし、周りの方々も研修生を受け入れてよかったと思ってくれるだろうと思います。

オランダ人の皆さん同士ではオランダ語で話すので、会話の内容がよくわからない中で話に入るのは難しい場面もありましたが、こちらの会話をしたいという気持ちや仲良くなりたいという気持ちに快く答えてくれるような方たちだったのでとてもうれしかったですし、感謝しています。

8)最後に

出発までは、オランダとの時差の関係や書類の手続きで思うようにスムーズにいかなかったり出発の日が予定より遅れてしまったりと不安なことがたくさんありましたが、無事に研修に行かせていただくことができ、帰って来られました。うれしく思うと同時に感謝しています。日本ではあまり見られない機械化された農業や、日本とは違う農業観に触れられたことはとても価値があると思っています。さらに、農業だけでなく人々の暮らしや生活で大切にしていること、考え方を知れたこと、たくさんの新しい景色を見れたこと、素敵な人たちに出会えたことは今後の私にとってのよりどころとなるように感じます。

これから研修へ向かわれる方にはぜひ、積極的に研修期間を楽しんでいただきたいです。不安なこともたくさんあると思います。でも意外と、自分で思っているよりも自分は強いものです。そして助けてくれるあたたかい心を持った方々がきっと周りにいるはずです。心をオープンにして、新しい経験や人々との出会いを大切に過ごしてほしいと思います。