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下川町 Eさん

「マニュアルどおりではなく、ワンランク上に挑戦!」~フルーツトマト「北の極(きわみ)」に寄せる熱い想い~

[Eさん(45歳) 平成28年1月就農 下川町]
(取材:令和元年6月19日TC記 協力:下川町地域担い手育成総合支援協議会)

地域の概要
 スキーのジャンプ選手を輩出している町として名を馳せている下川町は、明治34年に開拓の鍬が入れられました。気候の特徴は、夏季は比較的高温であるため、その立地条件を生かし稲作と酪農を中心とした農業生産が進められてきています。
 稲作は転作により畑作へと移行し、近年の作付面積は約70haと全量がもち米になっている一方、畑作では麦(手延べうどん)、そばを中心に、付加価値の高い農産物生産にシフトしています。
 酪農は、下川町の農業生産額の7割を占めており、年間生乳生産量は14,200tに達しています。最近では、搾乳ロボット導入やTMRセンター利用の経営体もあり、農業経営の安定や効率を図っています。
 また、施設園芸作物の導入が進んでおり、フルーツトマト(生産者約23戸)、スナップエンドウ、キヌサヤエンドウ、グリーンアスパラガス、ホワイトアスパラガスは、北海道有数の産地として生産拡大が図られています。
 特にフルーツトマトでは、新規参入者を積極的に受け入れる「研修道場」を設置しており、就農を目指す2年目研修生の研修ハウス(50坪10棟)、露地畑や1棟4戸の住宅等を完備しています。
 郊外には4つのジャンプ台があり、下川町出身者や北海道下川商業高等学校の卒業生からは、ワールドカップ大会やオリンピックの日本代表選手が選抜されています。
動機から就農まで
 下川町出身のEさんは、道路維持の会社で工事現場代理人という立場で仕事をした経験を持っています。
 働いていた会社が農業部門をやっており、下川町で最初にフルーツトマトの栽培を手掛けました。上司に頼んで自分を農業部門の担当者にさせて貰ったところ、その面白さから「これなら自分で農業を始めてみたい、儲けたい」と会社を辞め、立地条件が良かった町内へのUターンを決めました。
 就農するための技術はどこで?という問いに、「トマトは、会社を辞める1,2年前にちょっとやっていた」とEさん。
 自分の家の土地に農地を買い足し、元々あったしいたけハウス4棟をフルーツトマトハウス用に造作し、平成28年1月にご夫婦で経営を開始しました。
 町職員として働いていたパートナーのHさんは「サラリーマンとは違い、決まった収入があるわけではないので、正直不安だらけ」と言いながらも、「やると決めた以上は」とEさんの目指す農業に一緒に歩み出しました。
経営規模
経営面積:田2.0ha、畑1.5haの計3.5haを所有
施設:100坪ハウス6棟(フルーツトマト)
機械類:バックホー、ハウスのポンプ類
労働力:本人、妻、常時雇用1名
    作業時間は朝8時半から夕方5時まで。
    収穫作業がある時以外は、日曜日は休みを取ると決めています。
10a当収量:6t、糖度8度以上
販売先:商系、小売系
    最初は試食してもらい、販売先を紹介してもらう。
    「おいしいものを探していた」と言われ、販売先が広がって
    いきました。
就農支援制度の活用
・就農時の資金調達は自己資金のみで就農を開始
・就農後は農業次世代人材投資資金(開始型)
後輩へのアドバイス
 就農後に苦労したことは資金(機械)と工程計画。
 「マニュアルどおりにやっていると儲からない。本当に農業で成功させたいと思うなら、理想を求めるよりも、1年間の農作業工程をどのくらい組めるのかが大事」とキッパリと言い切ります。
 農業では、作物を作ることに気を取られて、この工程を度外視している場面が多いとも指摘します。工程を立てないと“今、作業が間に合っているのかいないのか、判断がつかない”。
 「みんなが始めているからウチもそろそろ」ではなく、「何日に出荷したいから、○○日に植える」「ハウスの温度も積算温度から逆算して決める」などの、積極的な工程が必要であり、工程を見ると一番忙しい時期なども先読みができて、突発的に人手を確保するなどの段取りもいらなくなるのです。
 就農して良かったと思えることも「自分で計画を立てられること」と言うEさんの言葉は、約束の期日までに物事が進まないと経済に影響するという現実を経験しているからこそのメッセージといえます。
今後の経営の方向性
 2019年に個人経営から、同規模のもう1戸の農家と2戸で「株式会社 きわみファーム」を設立しました。その理由は、フルーツトマトを産地化したい、「北の極(きわみ)」というブランドで販売したい、東京の市場にどの位発信できるのか、もうワンランク上にいきたいので、会社を作って信用を得たいと言う想いからです。
 農業を始める前に、徹底的に市場リサーチをしたというEさんは、どこの市場も(フルーツトマトが)不足している事が分かりました。東京市場でのフルーツトマトのシェアは6%しかないので、それを10%に上げたい。本州では、夏場は美味しいトマトづくりは難しいということもあり、いかに市場の要望に応えるのか。そのためには、一人では規模が大きすぎたので、仲間と会社を作ることにしたEさんには、目標をクリアするための工程が見えていたのでしょう。
 この6月下旬から新しいハウス(1棟300坪を2棟)も建て始めました。
雑感
 ハウスの温度管理が容易な自動巻き上げ機は、近隣市町村のピーマン農家と同時期に導入しました。ハウスの癖などを熟知して、本当に使いこなせるようになるまでには、3年かかったと言います。
 また、栽培する品種の特徴を最大限に引き出す肥料配合を理解するのに、種苗会社や講習会等で情報を得て、試行錯誤をしながら1年半はかかったが、トマトの品種から工程表を決めるためには、そこのポイントを押さえないとうまくいかないとも伺いました。
 フルーツトマト(高糖度トマと)は、トマト本来の生命力を最大限に引き出した栽培方法を応用していますが、「工程計画を立てる」という手腕を活かし、自分のやるべきことと可能性を最大限に追求するEさん夫妻の笑顔も、フルーツトマトのように輝いていたのはとても印象的でした。
写真
上段 左・Eさんのハウス、上段 右・熟したトマト(写真提供:下川町)
下段 左・「研修道場」のハウス、下段 右・研修生用の住宅

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