北海道農業担い手育成センター「北海道で農業をはじめるサイト」

スタッフブログスタッフブログ

19.12.23 木村大作さんとの出会い

「いい出会い」ってありますよね。

毎年、酪農学園大学主催の「若者を農村に呼び込む交流集会~我が町はどのように若者を魅了したか~」という長いテーマの公開シンポジウムが開催されています。当公社も後援しておりまして、毎年楽しみに参加しています。

今年で7回目となるこのシンポジウム、11月28日(木)黒澤記念講堂にて新規就農希望者、市町村新規参入担当、農協営農担当、大学関係者(学生など150名)が集まり開催されました。

ここで出会ったのが、基調講演をされた木村大作さん。

木村さんは、H21.4に壮瞥町で新規参入し、「貯金ゼロからの新規就農」というタイトルで、新規参入の厳しさや楽しさを会場の若者に熱っぽく語ってくれました。かいつまんで言うと・・・。木村大作1.JPG

〇人生の岐路

木村さんは、洞爺湖町にて地方公務員の家庭に育ったが、壮瞥高校の体験入学を通して農業に興味を抱き、同校園芸科で勉強。壮瞥高校から酪農学園大学に進学し農業関係の道を目指した。ここまでは多くの学生さんが歩む道であるが、木村さんは・・・。

教員免許も取得し一次試験にも合格。しかし、ここで立ち止まって考えた。「農業をやったことがない自分が生徒に教えられるか?まずは農業をやってからだ!」、と。

思いたったが吉日、教員採用試験を取りやめ、農家の担い手を育てるNPO法人の研修生となりH18.4から2年間勤めた。仕事はハードだったが、今となっては「どんなことがあっても踏ん張りがきく」よい経験となった。

〇新規参入のチャンス

そうこうするうちに自分で農業を始めたくなる。しかし、自己資金や既婚の受入要件が高いハードルとなった。酪農学園大学からお付合いしていた一年後輩の茜さんと結婚し、こちらの要件はクリアしたが自己資金の方は・・・。

高校生活を送った壮瞥町に相談したところ、木村さんのやる気満々のパワーを感じた町の担当者は「若くてやる気がありそうだから、やってみなさい。」と言ってくれた。「えっ、こんなにも簡単に夢が叶うの?」って感じだった。H20.4から一年間、大ベテランの野菜農家(今でも親方と呼ばせてもらっている方)で研修し、H21.4に新規就農。25才で念願の農場主となった。

〇入植1年目から3年目(H2123

でも、本当に大変だったのは経営を開始してから。不足していたのは自己資金だけでなく、販路と技術力もだった。

「木村さんのミニトマトは私が全量買い取ります。」と言ってくれていた業者さんに、ミニトマト収穫量がピークの8月、「もう明日から持ってこなくていいよ」と言われた。持ち前の行動力で地元の観光旅館など地域をくまなくセールスに歩き回り、売り先を何とか見つけた。

と思ったら、今度は花に害虫がついてしまい、ミニトマトの出荷が困難となった。挽回しようと畑を起こしてホウレンソウを播種したが、その害虫がホウレンソウに付いて全くの無駄に。一年目の売り上げは200万円弱・・・。

窮地を救ってくれたのは地域の方々。木村さんは、地域のお祭りやイベント、消防団やPTA活動など積極的に参加し、多くの人達と親しくお付き合いをしてきた。困っていることを知った方々からアルバイトや仕事を紹介され、生産資材や食料まで頂くことに。そのお陰で何とか乗り切ることができた。

〇4年目から7年目(H2427

この頃からやっと食べていけるようになった。美味しいミニトマトを作りたい、その一心から土づくりにこだわり、詳細な土壌分析のほかに自分でもpH、EC、硝酸態窒素を分析。その結果から肥料を考え、美味しいミニトマトを作りは着々と進んでいる。

H26からは観光協会と連携して8月のミニトマト刈りを開始。8月は果物狩りの端境期で、その隙間を埋めることで観光協会も賛同。観光客にも楽しんでもらいながら生産量のピークに収穫を手伝ってもらえ、大作農園のコマーシャルにもなった。

〇8年目から10年目(H2830

台風の被害でビニールハウスが倒壊。倒産、離農が頭をよぎる。訪ねてきた方が見るに見かねて、その日から「手伝ってあげる」と言われ、そのまま頼りになる相棒として従業員となった。また、関東から青年が農場実習の師匠を探しにやってきた。ベテラン農家さんを紹介するが、「大作さんが師匠になってくれ」と頼み込まれ、今春から弟子をとることになってしまった。

10年を振り返って思うことは、「ピカ一のミニトマト」を出荷すること。

入植してから幾度となくピンチがありましたが、そのピンチがチャンスとなっています。「新規参入には、もっと楽な道もあると思うが、私の場合はこれでよかった」と、波乱万丈ながらも着実に成長する大作農園のこれからの10年を語り、最後に受け入れてくれた壮瞥町に恩返しがしたいと講演を終えられました。

パネルディスカッションでは会場の学生からも質問があり、シンポジウム終了後、情報交換会が新札幌の居酒屋で行われました。私にとっても学生にとっても、木村大作さんとの出会いは「とてもいい出会い」でした。

木村大作2.jpg

一覧に戻る

TOPに戻る