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せたな町 Oさん

山並み一面に広がる紅葉の錦絵を眺めながら、檜山管内せたな町において、めん羊の飼育(北海道産サフォーク種)で新規参入をされたOさんを訪問しました。

[Oさん(35歳)、平成22年4月就農、せたな町]
(取材:平成28年10月T記、協力:せたな町)

地域の概要
 せたな町は北海道の南西部、日本海に面した檜山振興局管内の北部に位置し、北部と南部に広がる山地の中間を清流日本一にもなった「後志利別(しりべしとしべつ)川」が流れ、北部には道南の最高峰狩場山など千メートル級の山々が連なっている。
 耕地面積は5,970ha(田が43%、畑が57%)、販売農家戸数は361戸。豊かな自然の中で、後志利別川などの清流を活かした稲作を中心に、馬鈴薯・大豆・そば・アスパラガス・玉ねぎ等の畑でとれるものや、乳牛・肉牛・養豚・めん羊など多様な農業が行われている。
 農薬や化学肥料を一切使わない有機農業、使う量をできるだけ減らしたクリーン農業にも積極的に取り組んでいる。平成17年9月に、北檜山北部3町(北檜山町・瀬棚町・大成町)が合併し「せたな町」になった。
動機から就農まで
「羊という家畜に魅力を感じ、羊で牧場経営をしたいと思った。それも観光ではなく、生産をやりたかった」というOさんは、就農するまでに、青森の観光牧場、白糠町の茶路めん羊牧場、せたな町内の(有)ヒルトップファームと8年もの間、めん羊飼育の体験や研修を重ねた。
独立就農を応援してくれていた研修先の理解もあり、Oさん所有のめん羊を少しずつ増やし、繁殖・育成めん羊を合わせて80頭を引き連れての牧場開始となる。「めん羊牧場」の誕生だ。
 実は、奥さんもニュージーランドや浦河町の会社でめん羊の飼育に携わっており、Oさんとはめん羊に関する研修会で出逢ったという「めん羊通(つう)」同士である。
経営規模
 3年かけて、繁殖羊を100頭(うち種雄5頭)、肥育羊150頭、育成羊20頭に増やした。めん羊はどこかで牧場を止めない限り、まとまった数は手に入らないので、計画的に増やしてきた。
 Oさんの草地面積や、施設、労働力の面からみると100~130頭がベストの頭数という。農地面積は20haだが、粗飼料(牧草)の半分は購入している。
放牧経営が軌道にのるまで、これからの経営目標
 めん羊牧場を始めた3年目に、寄生虫のコントロールがうまくできなかった上にストレスも加わり、突然死するめん羊が出てきた。「放牧めん羊」は、イメージは良いが、放牧肥育では肉質を安定させることが難しく、どうしても飼育中の疾病予防のために、薬剤を使用する量も多くなる。そこで、まずは5ヶ月間舎飼をして、体が安定してから放牧をすることで改善したが、現在はこの飼育方法を行っていない。
今は、子羊は完全舎飼いで、道南産の麦米、ビートパルプなどで飼育している。舎飼いする事で、事故もほとんどなく、薬剤も幼畜時の一定時期のみしか使用しないため、肉になる前には薬剤は使用しないため)安全な生産物の生産、安定した肉の品質確保を可能にしている。また、早期の増体向上にもつながり、その結果として収益の増加にもなっている。出荷は、毎年8月頃、5ヶ月齢位から始まっている。
 今は安定している、この完全舎飼い方法ではあるが、断念した放牧飼育で得た経験も生かし、羊への負荷の少ない飼育方法を心がけている。
 一方販売面では、就農開始から2年位は思うような販売につながらなかったという。レストラン等へ供給する場合は、こだわりを求められ、その分販売にも手間がかかり、販売量の予測も難しいことから取引方法を変えた。
 今は自分の出荷量に応じた規模の卸業者さんと出合い、信頼関係を築きながら取引している。声を掛けてくれるところも増えており、平成28年には肉の値段も上げた。この卸業者を通しての販売が安定収入につながった。
 もっと供給して欲しいと言われているので、これから3年間位を掛けて、飼養頭数の増加を予定している。また、羊毛等副産物の販売を増やすことも計画している。
就農支援制度の活用
就農支援資金(就農研修資金・就農準備資金・就農施設等資金)
農地保有合理化事業(リース事業)
せたな町単独事業(担い手奨励金、賃貸料、固定資産税免除)
後輩へのアドバイス
・事業に該当しない建物や農機具を購入する場合もあるので、自己資金は必要。
・めん羊を始める場合は、大きなめん羊牧場で経験を積んでから就農した方が良い。牛が飼えるからと言って、めん羊を飼えるわけではない。白糠町茶路めん羊牧場での研修では、肉捌きから管理までやらせてもらった。昼も夜も働き、事故なども見たので、自分でやる時にはプラスになったという。めん羊には家畜共済もないので、事故が起きた場合には自分で対応する力が必要になり、知識だけでなく実務経験も必要になる。
・めん羊はJAなどの共同集荷制度がないため、自分で売り先を確保し帳簿で経営を把握している。複式農業簿記の知識は必要。
・屠殺(とさつ)場までの運搬も自分で行うため、飼育管理作業以外の時間確保が必要になる。
・地域には生産者の組合組織もないので、研修会等に積極的に参加し、同業者・異業種と交流する。
・相談できる相手が近くにいると心強い。
・自分の「ブランド」としてこだわって販売したいという面もあるが、まずは安定した収入を得る経営をめざすことが大事。

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