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頑張ってます!新規就農者 New farmer

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栗山町 Oさん

春を待つ栗山町。
就農4年、第三者経営継承で「いちご栽培農家」
として自立したOさん夫妻のまぶしい笑顔に逢いました。

[Oさん(32歳)、平成27年4月就農、栗山町]
(取材:平成31年2月22日TC記、協力:(一財)栗山町農業振興公社)

地域の概要
 札幌や千歳空港から車で1時間足らず、人口約1万2千人の農業の町「栗山町」は、稲作を中心に、道外への移出量日本一の種子馬鈴薯や、町内で生産される赤たまねぎ、メロンなどの多品種の野菜栽培が行われている。また、夏の平均気温は22.4℃、冬の平均気温は-8.1℃と、温暖な地域で過ごしやすい気候も特徴である。
 明治21年に仙台角田藩の手によって開拓の鍬が入って以来続いてきた農業は、現在農用地面積5,500haを超え、約430戸の農業経営体が、水稲・麦類・種イモ主体にたまねぎ、かぼちゃ、ながねぎ、いちご、スイートコーン、アスパラガス、花きなどの多品目生産で支えている。
 街中をぶらっと歩いていると、明治11年創業で国の有形文化財にも登録されている酒蔵をもつ、北海道最古の蔵元「小林酒造」や、桃太郎の図柄の包装で、かつては田植え時の「おやつ」としても広く愛されてきた「谷田の日本一きびだんご」の看板が目に飛び込んでくるが、これらも栗山町を代表する特産品である。
 また最近では、北海道日本ハムファイターズ栗山英樹監督が、「名前」繋がりが縁で少年野球場「栗の樹ファーム」を造ったことも道産子として知っておきたい話題の一つである。

動機から就農まで
 大阪府の出身で、会社員だったOさんだが、「農業をやりたい、北海道に行こう」という想いが大きくなっていた。平成20年から約5年間、中富良野町の農園で働いた経験から、美味しいモノが作りたいという想いと同時に「自分で経営をしたい」という気持ちが湧き上がった。
 新・農業人フェアに参加して情報を集めていた頃、経営継承者を探している話が舞い込み、同農園で働いていたパートナーとの話し合いで、その場で手を打ったという。施設や機械があるところに就農したかったというOさんは、第三者経営継承しか考えていなかった。借金はするけれど、所得をすぐ上げられることが魅力だったという。たまねぎを作りたいという希望であったが、移譲希望農家のいちご栽培に取り組む事になり、結果的にはこれで良かったというOさん。就農4年目にして、元のオーナーの頃よりも上回る売り上げになった事からも、その経営手腕は推して知るべしである。
 平成25年から2年間、移譲農家の親方より、いちご栽培の技術をしっかり学び、二人目のお子さんが誕生する平成27年4月に就農。
 就農一年目は、移譲農家の親方のパートナーが農作業を手伝ってくれ、親方も様子を見に来て、「よくやっている」と励ましてくれた。もともと1,2年は面倒を見てくれる人を探していたOさんにとっては、本当に嬉しい応援だった。就農と同時に住宅を明け渡してくれたことも、Oさんにとっては有難い事だったという。
経営規模(平成30年)
・労働力:本人、妻、常時雇用者(男性)1名、フリータイム制のパートタイマー(6~7人)
・経営面積:いちご97a(ハウス17棟、うち平成30年はいちご狩りハウス4棟)、アスパラガスハウス15a(2棟)、育苗ハウス1棟、牧草(水田転作)783a、合計895a  
・機械:トラクター80ps・70ps各1台、20ps2台、ユンボ、マニアスプレッター各1台、除雪機40ps1台、自動潅水セット施設1式、トラック2台、動力噴霧機2台、アスパラ選別機、1.5坪の予冷庫2台
・施設:D型倉庫40坪(機械倉庫)、選果場20坪(サイディングを施工)、休憩場(パートさん用)、住宅

・栽培している品種は、けんたろう(一季なり)とすずあかね(夏秋どり)
・5月はけんたろうの収穫ピークを迎え、延べの収穫期間は40~50日間。その後、すずあかねの収穫ピークが7月と9~10月の2回あり、例年11月10日頃まで出荷し11月中旬に片付けをしてる。
・春いちごはJA販売が主体、夏秋いちごは自分での販売が多い。全体販売額でJAと半々販売。
・規格外品はヘタをとりカットし冷凍いちごとしてスムージ用に販売。 
就農支援制度の活用
・青年就農給付金(準備型、経営開始型1年目のみ)
・農地保有合理化事業(農地10年リース後買取)
・栗山町新規参入者施設等導入助成事業
後輩へのアドバイス
・決断力が必要。
・自分の責任で農業をやると決めていながら、外部からのアドバイスが欲しい、他人がお膳立てをしてくれることを望んでいる人もいる。「腐っても経営者」として意識を持っていく必要がある。
・特に経営継承等を目指す場合は、研修中は親方の教えに徹し、自分が経営権を持ってから自由にかつ責任をもって経営に関っていく事が大事である。
・従業員や家族・自分へのご褒美は、先に決めておく。「冬に好きな事をするために、夏に頑張って働こう」という想いで仕事をしている。どこに行きたいか、みんなで行ける所を決めている。
・失敗したくないならば、就農先が決まった町の農業法人等で働き、農作業の経験を積むことや、その職場の中での人とのつながりを築く事も良い。そうすると、地域内の状況も良くわかるし、信頼関係から多くの情報を得ることができる。

今後の経営の方向性
・平成30年から本格的に始めた「いちご狩り園」の専用ビニールハウス。人数は多くはないが、果実の手入れをしてから、お客様に入園して頂いているので顧客単価が高い。
・夏秋は業務用がメインとなり、ケーキ用・いちご大福用などに直送し原料を提供している。
 ロスが少なく状態が良くてそのまま使えると、業務用の需要は年々増えており、取引先からの注文は言い値で売れるメリットがある。あとは自分で面積を増やす、収量を増やすしかない。まだ伸びていけるが、雇用の方も検討していかなければならない。
・現在、経営収支等については、税理士に依頼し今後の方向についても相談しているが、これ以上の所得の上昇や面積の拡大がある場合は、法人化も検討している。
・今年は母の日に、お花といちごのギフトを限定数作って販売したい、栗山町のふるさと納税の返礼品にも提供する等の取組で売上げを伸ばしていきたい。

雑感
・「すずあかね」は高設栽培が主流だが、栗山町で初めて土耕栽培の技術を成功させたOさんのハウスを見たいと視察を希望する人も多い。
・実家の大阪に帰省した際には、いちごの販売先への営業も欠かさないというOさん。
 就農の為の引かれたレールの上を走りたくなかったというだけあり、その経営者としての才能は、春を待つ栗山町で今まさに花開く。

写真提供:Oさん(上段左、下段左)、(一財)栗山町農業振興公社(上段右)

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